スポンサーサイト

  • 2015.06.20 Saturday

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 0
    • -
    • -
    • -

    通天閣将棋センター<シリコンバレーから将棋を観る>

    • 2011.08.11 Thursday
    • 06:19
    リアルワールドで久しぶりに男に惚れる。

    つっても、面識ないけど(笑)

    いま、あたしは、
    モッチー(勝手に命名)にメロメロざんす。

    モッチーは、
    梅田望夫(うめだもちお)さんといって、
    90年代からアメリカのシリコンバレーに在住、
    コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツの社長で、
    株式会社はてなの非常勤取締役、
    株式会社リコーの社外取締役も勤める、
    企業経営コンサルタントである。

    この人の書く将棋の本が、もう、
    滅法、おもしろいのだ。

    立て続けに2冊読んで、
    「ああ、こういう将棋の書き方があったんだ。
    これって、先日紹介した『ひらけ!駒』のスタンスだよね!?」

    とうれしくなる。

    まずは、


    『シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代』
    梅田望夫(中央公論新社)


    30代以上の人なら、
    とーちゃん、じーちゃん、親戚のおっちゃん、学校の先生など、
    身近に将棋好きの大人がいれば、
    自然と将棋を覚えて、小学生あたりには、
    普通に将棋で遊んでいたんじゃないかと思う。

    あたしも、小学生のときは、今思うと不思議なくらい、
    ちゃんと指せて、下手は下手なりに楽しめていた。

    でも、大きくなるにつれ、勉強や部活やバイトや仕事やいろんなことに
    時間が取られるようになって、
    多くの人は、いつのまにか将棋から離れてしまう。

    モッチーもそんな1人だが、
    「指すこと」はしなくなっても、
    将棋を
    「観ること」
    「読んで楽しむこと」
    「生きていくうえで大切な何かを将棋から得ること」

    は続いたという。

    そう、彼は
    「指さない将棋ファン」
    になっていったのだ。

    そして、彼は、仕事で出会う人々の中にも、
    たくさんの「指さない、そして隠れた、将棋ファン」
    がいることを知る。
    おそるおそるブログに将棋の話を書き始めると、
    こうした隠れファンから、予想以上の反響があったらしい。

    なぜ、モッチーがおそるおそるで、
    あたしも含めて多くの人が隠れてたのかというと、
    「将棋の世界を支配している空気が、
    <指して強いこと>によって
    将棋好きの度合いをはかるもののように思えたから」
    だ。

    だって、あたし、推定棋力15級だもん!
    駒の動かし方はもちろんわかるし、
    詰め将棋も三手詰めくらいまでなら、結構解けるけど、
    定跡なかなか覚えられないし、
    一生懸命囲ってるあいだに、駒減ってるんだもん。

    先日発売された、
    羽海野チカ『3月のライオン』第6巻で、
    ひなちゃん(女子中学生)に
    将棋を教える約束をしてた零くん(プロ棋士)が、
    自分はたった3枚(王と金2枚)という、駒落ち対局にもかかわらず、
    5分で、ひなちゃんを瞬殺してしまい、
    激しく反省するシーンがあって、
    将棋の上手い人には笑える場面のはずなのだが、
    あたしは、トラウマが甦って、
    部屋の隅で体育座りになってしまった。

    うちには、
    米長邦雄名人・羽生善治竜王の署名入り激レアお免状
    (米長さんの名人在位は一期だけだから)
    を所持しているアマ三段がいて、
    数年前に、あたしはもちろんフル装備、
    相手は「王」のみ
    で指して、ぼこぼこにされたのだ。

    「もう、あんたとなんて、指してあげないんだからっ」
                   
          ツンデレじゃなくマジギレ

    アマ三段で、そんなんなら、
    プロ棋士しかもタイトル保持者なんて、
    「神」じゃん?!
    直視したら、絶対失明する!
    えらそうに語ったりしたら、雷に打たれて死ぬ!

    くらいの畏敬の念を抱くわけだよ(笑)

    だから、将棋や棋士という人たちが好きで好きでしょうがないけど、
    どうしても、「将棋」を直接語るということは憚られて、
    将棋を題材にした漫画や小説、
    将棋にまつわるノンフィクションや、
    棋士の自伝、評伝について、
    書評という形で感想を書くことしかできなかった。

    モッチーは、
    「指さない将棋ファン」というコンセプトが、
    将棋ファンの裾野を広げ、豊かにしていくという意味で、
    とても重要なことだと考えるようになり、
    親交のある棋士たちが、同じ意識を持っていることを知る。

    作中で引用されている、渡辺明竜王の文章は、
    そのことをわかりやすく示している。

    将棋を指すのは弱くとも、「観て楽しむ」ことは十分できます。
    例えばプロ野球を見る時。
    「今のは振っちゃダメなんだよー」とか「それくらい捕れよ!」
    サッカーを見る時。
    「そこじゃないよ!今、右サイドが空いてたじゃんか!」
    とか言いながら見ますよね。
    それと同じことを将棋でもやってもらいたいのです。
    「それくらい捕れよ!」と言いはしますが、
    実際に自分がやれと言われたら絶対にできません。
    「しっかり決めろよ!」も同じで自分では決められません。
    将棋もそんなふうに無責任に楽しんでほしい。

    (『頭脳勝負』ちくま親書)


    この言葉は、あたしも別のところで知って、
    すごく気持ちが楽になった覚えがある。

    モッチーの言うように、
    『将棋を「観て楽しむ」ための資格なんて、どこにもない』し、
    『誰でも、明日から「指さない将棋ファン」になれる』
    のだ。

    この本は、
    将棋から一度は遠く離れたけれど将棋の世界が気になっている人、
    将棋は弱くてもなぜか将棋が好きで仕方ない人、
    将棋を指したこともないのに
    棋士の魅力に惹かれて将棋になぜか注目してしまう人、

    そんな人たちに向けて、
    素人でも感じ取れる将棋の魅力、
    棋士という素晴らしい人たちの魅力

    を伝えるために書かれた。

    内容は、
    羽生善治の幻の名著「変わりゆく現代将棋」
    を手がかりに、
    モッチーが見てきたITの世界と重ね合わせ、
    「知のオープン化」「高速道路論」
    「世界中の情報を整理し尽くすことで、
    量を質に転化させ、破壊的なイノベーションを起こす」という、
    グーグルの思想
    などをキーワードに、現代将棋を考えることから始まり、
    2008年、
    新潟市で行われた第79期棋聖戦第一局(佐藤康光vs.羽生善治)
    豊田市で行われた第49期王位戦第二局(深浦康市vs.羽生善治)
    パリで行われた第21期竜王戦第一局(渡辺明vs.羽生善治)

    をWEB観戦記や、棋士たちとの対話で、
    より深く掘り下げ、
    最後は羽生善治との対談で締めくくっている。

    それは、タイトル戦での感想戦や、
    新聞や雑誌の従来の観戦記以上に、
    「観る楽しみ」
    を増やすために、
    多くの時間をかけて、棋士自らが語る「言葉」 を
    引き出す試みであった。

    モッチーという優れた聞き手を得て、
    棋士たちが紡ぎ出した将棋についての言説は、
    あたしたち、「指さない将棋ファン」に、
    「観る楽しみ」そして「読む楽しみ」
    を与えてくれると共に、
    棋力を備えた従来のコアな将棋ファンをも、
    十分に満足させる内容だと思う。

    一年余りを、
    羽生善治名人、佐藤康光棋王、深浦康市王位、渡辺明竜王(当時)
    と過ごした豊穣な時間は、
    モッチーに、
    「超一流とは何か」
    を考えさせることとなり、
    それは、次の著作、


    『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語』梅田望夫(中央公論新社)

    へとつながっていく。

    第80期棋聖戦第一局(羽生善治vs.木村一基)
    第80期棋聖戦第五局(羽生善治vs.木村一基)
    第57期王座戦第二局(羽生善治vs.山崎隆之)
    第68期名人戦第二局(羽生善治vs.三浦弘行)
    第81期棋聖戦第一局(羽生善治vs.深浦康市)

    という5つのタイトル戦観戦記と、
    それにまつわる、
    羽生善治、勝又清和、山崎隆之、行方尚史、深浦康市
    との対話から、
    誰もが口を揃えて言う、
    羽生善治の強さの理由、
    そして、
    今の将棋界で何が起こっているか
    精一杯、説明しようとする試みである。

    羽生さんだけでなく、
    「知の高速道路」の先の大渋滞を、
    抜け出た棋士たちの紙一重の攻防を、
    そこに身を置く棋士自身が語った言葉は、
    良質のスポーツドキュメンタリー以上にスリリングで、
    掌に汗が出るほど。

    今まで、内側からしか語られることが少なかった将棋の世界に、
    外からの視点を持ち込んだ画期的な将棋論であり、
    素晴らしいエンターテインメントだと思う。

    15級のあたしでさえ、そう感じるんだから、
    「指さない将棋ファン」も、
    「指せる将棋ファン」も 、
    是非、読んでみてほしいなあ。

    通天閣将棋センター<ひらけ駒!>

    • 2011.07.06 Wednesday
    • 22:44
    昨日、久しぶりに書いた、将棋本カテ。

    勢いで、もう1冊いっちゃおう。


    『ひらけ駒!(1)〜(2)<以下続刊>』南Q太
    (講談社モーニングKC)

     
    かなり変わり種の将棋漫画である。

    将棋漫画といえば、「勝負」の世界というのが、今までの常識。

    引き分けがなく、容赦なく白黒のつく勝負であり、
    誰にもたよることのできない孤独な戦いであり、
    棋士になるまでに、奨励会という狭き門をくぐり抜けなければならず、
    プロになってからも、名人を頂点として、常に順位戦で、
    昇級降級をかけて戦い続け、
    竜王、王座、王位、王将、棋王、棋聖、
    といったタイトルを賭けた棋戦も同時進行で続く。

    そんな世界に身を置く者を主人公に据えれば、
    奨励会員であれ、棋士であれ、
    ときに人生さえ賭けた一局は、
    スポ根以上にスポ根な展開になるのは、
    いわば必至だろ?!

    将棋指しに憧れて憧れて、
    棋士という生き方に興味を持ち、
    小説、ノンフィクション、そして、将棋漫画に
    熱中してきたあたしだけど、
    ずっと心の中に、消えないひっかかりがあった。

    この漫画を読んだとき、
    そんな心の棘が抜けたような気がして、
    本当にうれしかったのだ。

    そう。この漫画が教えてくれたのは、
    「将棋が下手でも、ちゃんと指せなくても、
    将棋大好きっ!!
    って堂々と言っていいんだ!」

    ということ。

    今までの将棋漫画は、
    とにかく主人公が、
    奨励会員、棋士、真剣師、
    と将棋に人生賭けてる人ばっかだったもんで、
    その情熱に、真摯な姿に憧れ、読みふけりながらも、
    もうちょっと、ゆるくて楽しい将棋の世界が、
    漫画にもあればいいな、って、
    どっかで思ってた。

    大好きな将棋漫画で、
    出てくる棋譜の意味を、
    勝負手の重みを理解したくて、
    将棋入門書を一生懸命読んだり、ゲームをやったりしたけど、
    定跡を覚えられず、三手詰めでいっぱいいっぱいのあたしは、
    「将棋漫画が好き」
    とは言えても、
    「将棋が大好き!!」
    とは、
    なかなか大きな声では言えなかったんである。

    『ひらけ駒!』の主人公は、
    将棋に夢中な、小学四年生・菊地宝
    そして、将棋にミーハーな、宝の母


    似ているようで、ビミョーに違う親子の目線で、
    将棋にまつわるあれこれを描いた、
    将棋愛あふれる漫画だ。

    宝は、負けてくやし泣きするくらいに、一生懸命将棋を指しているけど、
    まだ、奨励会にも入っていない小学生だから、
    将棋や棋士に対して、
    絶対に負けられない勝負とか自分が将来つくべき職業、
    という意識よりも、
    まだまだ、楽しさや憧れの部分をたくさん持っていて、
    そこが微笑ましい。

    そうだよ、将棋って、 
    三段リーグを突破できなければ、何もかもお終い、みたいな、
    悲愴で厳しいだけのものじゃない。
    最初はみんな楽しいから指すんだよね!?将棋

    そして、あたしにとって、
    宝以上に共感できるのが、菊地母。

    あちこちの子ども将棋大会や、将棋教室や道場に、
    宝のつきそいで顔を出してるし、
    宝に感化されて、将棋が好きで、
    棋士のことはいっぱい知ってるんだけど、
    本人は、三手詰めも怪しい15級
    携帯アプリの柿木将棋で勝てなくて、宝に泣きついたり、
    通い始めた将棋教室で、
    「銀はうしろにはすすめませんね・・・」
    と言われたりする(笑)

    かなり目線がミーハーだけど、
    将棋を愛する気持ちをたくさん持ってる人。

    あたしも、そう。
    小学生のときに、故・芹沢博文九段に、マジ惚れして以来、
    谷川さん、先ちゃん(先崎学)、羽生さん、村山くんと、
    好きになった人は、棋士だらけ。
    女の子が、ジャニーズの誰が好き、というのと、
    全く同じノリで、ふつーに棋士に憧れてた。

    この物語の中には、棋士が実名で登場しているから、
    宝や菊地母の気持ちが、余計リアルにわかる。
    (あ。一人だけ実名じゃない人が。笑。
    将棋教室の水嶋比呂介センセーは、架空の人物。
    モデルは、天野貴元さんだけど)

    千駄ヶ谷の将棋会館の売店で、
    田丸昇八段に、にっこりしてもらって、喜ぶ宝。
    美人の高橋和女流三段に指導対局で褒められて、
    鼻血を出しちゃう宝。

    一方、母は、
    宝と一緒に行った、神田神保町
    囲碁将棋趣味の古書「アカシヤ書店」(実在)で買った、
    『将棋世界』のバックナンバーで、
    若き日の郷田真?九段の写真(超美青年。四段の頃)
    を見つけ、
    現在の姿をふと思い浮かべて、
    「はっ。
    だめだめ がっかりなんてしては・・・
    今の彼は超A級棋士
    棋士は外見じゃない!棋力よ!」

    と自分に言い聞かせたり(笑)

    月が変わって、リビングの将棋カレンダーをべりっとめくったときに、
    「今月は羽生さんか・・・」
    ニヤリとしたり。

    うんうん、わかるよお。

    本がいっぱい登場するのも、
    あたしには、ツボだった。

    菊地家にいっぱいある将棋の本も、
    アカシヤ書店に並んでた本も、
    すべて、実際の書籍名。
    入門書、指南書、定跡の本、棋譜、詰め将棋問題集、
    ノンフィクション、自伝、評伝、雑誌から、
    将棋漫画まで、
    全部、ほんとにある本だから、
    細かく書き込まれたタイトルを見てるだけで、楽しいんだもん!

    漫画だけでも、
    『3月のライオン』
    『マサルの一手!』
    『月下の棋士』
    『聖―天才・羽生が恐れた男』
    『ハチワンダイバー』

    なんかが並んでる。
    『少年☆周波数』まであるのには、爆笑。

    将棋が普通の生活の中にある楽しさ。
    いいよねえ。

    あたしも、宝がもらった「駒せっけん」が欲しい!
    と思って、
    「もしかして、通販とかで売ってね?!」
    「駒せっけん」で検索してみたら、
    渡辺明竜王のブログにブチ当たった。

    <将棋マンガひらけ駒!第2巻購入。
    将棋を指す小学生とその母が主役の本格将棋マンガ。
    道場にて11連勝で「駒せっけん」をもらうシーンがありますが、
    僕も子供の頃、欲しいなと思ったことがあったような。
    結局もらったのかどうかは覚えていませんけども。>


    という一文を読んで、ますます楽しい気持ちになった。

    通天閣将棋センター<王狩(おうがり)>

    • 2011.07.05 Tuesday
    • 20:27
    将棋本を紹介するカテ『通天閣将棋センター』

    7月4日の日経新聞夕刊を読んで、
    なんだか、女流棋士の話をまとめておきたくなった。

    件の記事は、
    「10代の女性奨励会員の、女流棋戦での活躍」
    を紹介したもの。

    この一文を読んで、
    さらっと「すごいよな」って言える人は、
    一般的に言えば、かなりの将棋通だぞ。

    女流棋士=女性の棋士
    ではないことを、わかってる人って、
    いったいどれくらいいるんだろう?

    あたしも数年前まで知らなかったんだもん。

    今まで、将棋についての漫画やノンフィクションなどを紹介するときに、
    奨励会
    のことには何度かふれてきた。

    プロの将棋指しである棋士になるには、
    地方の小中学生名人レベルのすごい子どもたちが、
    プロ棋士に弟子入りして(推薦を受けて)
    育成機関である奨励会に入会し、
    6級(あるいは5級)から初めて、
    規定の勝ちをあげれば昇級、昇段していき、
    年齢制限の壁を越えて、
    厳しい最後の三段リーグをくぐり抜け、
    四段にならないといけないのだが、
    それは、1年にたった4人という狭き門なのだ。

    プロになるのが、年間4人って!?
    ここまで厳しい職業が他にあるか!?


    そして、女性で、この道筋を経て、
    棋士になった人は、いまだに一人もいない

    そう、日本には、女性棋士は存在しないのだ。

    え?
    じゃあ、テレビで、将棋を指してる、
    あの女の人たちは、何なの?

    と思うよね。

    彼女たちは、女流棋士である。
    そして、棋士女流棋士は、別モノ
    一部の棋戦を除いては、棋士と同じ土俵では戦えないし、
    名人に挑戦するためには必須の順位戦にも参加できない。

    長い長い将棋の歴史を考えると、
    女流棋士の誕生が1974年というのは、
    かなり新しい出来事だといえる。

    女流棋士には、
    奨励会とは全く別の「女流育成会」という養成機関で、
    規定の成績をおさめるとなることができる、
    という仕組みが長く続いた。

    もちろん、奨励会に入る才能ある女子もいたのだが、
    奨励会を経て、棋士になることにこだわらなければ、
    手っ取り早く女流育成会からプロの女流棋士になれるし、
    奨励会との掛け持ちは、1998年以降は不可となっていた。
    そして、わざわざ、女流棋士を休会(休業)してまで、
    奨励会に入会しても、男性と同じルートで棋士になる女性は、
    とうとう生まれなかったのだ。

    2003年以降は、
    奨励会を2級以上で退会すれば、女流棋士の資格が得られることになり、
    2009年からは、奨励会の下部組織である研修会が、
    女流の育成も兼ねることになって、
    研修会でC1クラスになれば、女流3級、
    そこから規定の成績をあげれば、正式な女流棋士になれる、
    という仕組みもできた。

    けれど、将棋好きの人間のあいだでは、
    「女子はそんなに男子に劣るんだろうか?」
    女流棋士ではなく女性棋士が生まれる日はこないんだろうか?」

    というのは、
    ずっとずっと関心の的だったのである。

    10代の若い才能が開花し始め、
    女流棋士が男性と同じ棋戦に参加する機会も増えてきた昨今、
    つい先日、5月に、
    期待の若手、里見香奈が、
    特例によって奨励会の1級編入試験を受験し、
    合格したのきっかけに、
    女流と奨励会の掛け持ちが解禁されることになった。
    女子が、女流のタイトル戦で実戦を経験しながら、
    本当の棋士になるための奨励会に所属することが許されたのだ。

    新聞記事は、それを伝えるもの。

    将棋漫画は、いろいろあるけど、
    女性を主人公にしたものは、少ない。
    かつて、女流棋士であった林葉直子が、
    かとりまさるのペンネームで原作を手がけた、
    『しおんの王』は、
    主人公・安岡紫音が、あくまでも、現実に即して、
    史上最年少の女流棋士として、
    男女混合の新しいタイトル戦に参加する、という設定だった。

    記事中では、十代の女子奨励会員の台頭の追い風として、
    『3月のライオン』人気を挙げていて、
    羽海野チカさんファンのあたしは、
    にまにましてしまったけど、
    実は、この記事の内容にもっとふさわしい漫画がある。

    今日のタイトルにした、


    『王狩(おうがり)』青木幸子(講談社イブニングKC)

    は、
    奨励会2級の12歳の女の子、久世杏(くぜあん)が、
    女流棋士ではなく、棋士を目指す物語。

    この作品の中で、杏がプロ棋士になるのが先か、
    現実世界で、史上初の女性棋士が生まれるのが先か。

    架空であれ、現実であれ、
    女性棋士が生まれる瞬間を、
    この目で見てみたい、
    と切実に思うよ。

    通天閣将棋センター<フフフの歩>

    • 2010.11.11 Thursday
    • 23:21
    またもや、新カテ誕生だ−。

    以前から、将棋に関する本は、
    たびたび紹介しているから、
    ここらで、ひとつのカテにしちゃえ、ってことで。

    4年も書いてると、
    記事がものすごい数になってきて、
    自分でも、過去に書いた記事や本のことを、
    もう一度読み返したい、調べたい、
    ブックレビューに転用したい、
    と思っても、
    探せなくなってくるのであるよ。

    店で扱ってる本は、「店のこと」に、
    自腹で買った本は、「ぺんぺんのお小遣い帳」に、
    図書館で借りた本は、「図書カード6年1組ぺんぺん」に、
    と分けて書いてきたけど、
    これからは、なるべくカテゴリ分類で、
    どの本をどの記事に書いたか、
    わかるようにしていこう、と思って、
    装丁に関する本、装丁が面白い、美しい本など、
    本の外側の話をするとき用に、
    先日、「装丁夜話」を新設。

    本の内容についても、
    よく話題にすることになりそうなネタは、
    なるべく、カテ分けするようにする。

    将棋本カテのタイトルは、
    大阪の伝説的な棋士・故阪田三吉にちなんでつくられた
    「通天閣囲碁将棋センター」
    からもらった。
    通天閣の地下にあった、日本一大きい将棋道場だったけど、
    2001年7月、阪田さんの命日に行われた「王将祭」を最後に閉鎖。
    (NHKのドラマ「ふたりっ子」の舞台になった場所)
    なんとなく大阪らしくていいかな、と。

    さて、今日取り上げる将棋本は、


    『フフフの歩』先崎学(講談社文庫)

    先ちゃんこと先崎学といえば、
    もちろん、現在もB級2組に在籍する立派なプロ棋士。
    八段だよ。すごいんだよっ。
    天才であるよ、この人は。

    1970年生まれ。
    「チャイルドブランド」「羽生世代」
    と言われる一握りの棋士の中の一人。

    小学校5年で、5級での奨励会入会。(普通は6級から)
    米長邦雄門下で、この年代の棋士には珍しく、
    小学校卒業まで、内弟子(米長宅に住み込み)として生活。
    入会から1年足らずで2級まで昇級。
    この頃、「天才」の名は、先ちゃんのものであった。
    1級に上がるのに足踏みしたため、そのあいだに、
    1年遅れで入会した同級生の羽生さん、森内さんに追い越されてしまうが、
    その実力は、決して、彼らに劣るものではなかった。

    規定の勝率をあげて、あっさり四段になり、
    史上3人目の中学生プロ棋士になった羽生さんに対し、
    先ちゃんが三段のとき、
    「三段リーグ制度」が復活、
    プロ(四段)昇段は、1期(半年)に18戦して、
    上位2名のみというの狭き門に。
    でも、先ちゃんは、その第1回三段リーグを、一発抜けし、
    17歳でプロ入り。
    この三段リーグを1期で抜けたのは、過去に6人しかいないし、
    中学生プロ棋士が、加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明と、
    いまだに4人しかいないことを思うと、
    17歳でのプロ入りも十分すごい。

    タイトル・ホルダー
    竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖の七大棋戦の優勝者のこと)
    でこそないが、
    NHK杯、若獅子戦で優勝経験があり、
    3期連続昇級というすごい成績でA級八段にまであがった。

    ただ、先ちゃんは、
    「普通に高校にも通い、真面目にひたすら将棋に打ち込み、
    パソコンを駆使して棋譜の整理・研究をし、
    棋士が集まっての研究会で切磋琢磨しあう」
    という、この世代の棋士とは、ちょっと毛色が違った。

    小学生時代は、内弟子として過ごし、
    中学生時代、すでに酒とギャンブルをたしなみ、2年で中退。
    将棋よりも麻雀が好き、
    という一昔前の無頼派の血脈を継ぐ、異色の棋士なのだ。

    そして、何よりもすごいのは、その文才である。

    今は作家となった、元『将棋世界』編集長の、
    大崎善生さんとも親交が深く、
    かなり若い頃から、『将棋世界』にコラムなどを書いていた。

    先ちゃんのファンは、
    「こんなに酒好きじゃなかったら、
    ギャンブル好きじゃなかったら、
    こんなに文才に恵まれなくて、
    いろんなことを器用にできてしまう才能がなくて、
    将棋一筋に打ち込んでいたら、
    きっと、名人になれたのになあ」

    と誰もが思っているだろう。

    でも、もしもこの先も名人になれなかったとしても、
    棋士・先崎学、そして人間・先崎学、
    特に文筆家としての先ちゃんの魅力がなくなるわけではない。

    彼のユーモアあふれる文章が、好きだ。

    週刊文春
    「先崎学の浮いたり沈んだり」
    (現在は「先ちゃんの浮いたり沈んだり」
    というコラムは、
    将棋ファン以外の人が読んでも面白い、と評判の長期連載である。
    このシリーズをまとめた、単行本、文庫本も、
    すごくいいのだが、
    今回紹介する、
    『フフフの歩』は、
    若かりし日、20代の先ちゃんのエッセイである。

    少年の頃から慣れ親しんだ酒、麻雀、競馬の話、 ←いいのか?!(笑)
    先輩後輩棋士との交友録などを、
    軽妙洒脱な文章で綴った単行本
    『世界は右に回る 将棋指しの優雅な日々』(1997年日本将棋連盟)
    に、
    「将棋世界」に掲載された
    「先チャンにおまかせ」(1992年)と、
    「先崎学の気楽にいこう」(1997〜1998年)
    の原稿を加えたもの。

    アマチュア強豪相手の対局記、
    『切れ負け勝負激闘編』もすごいが、
    『将棋指しの優雅な日々編』
    での棋士たちの素顔がとても楽しい。
    いまは、ベテラン棋士、将棋界の重鎮の風格を漂わせる、
    A級棋士たちの若き日の、
    ユーモラスなエピソード満載。

    ひとつ、すごく笑える話があるから、
    紹介しておこう。

    有名な(?)中村八段郷田七段(当時)の、
    「点のある・ない論争」
    である。

    函館で避暑を楽しむ、先ちゃん一行。
    一週間以上、将棋盤を見ずに、遊び歩く日々。
    海の幸をたらふく食べた後、五稜郭近くのスナックに出陣したときのこと。
    女の子に、将棋と囲碁の違いを説明しているときに、
    中村八段が唱えたのは、
    「囲碁の盤の上にはところどころに目印がついているんだ、
    将棋盤にはそれがない」

    という説。
    たしかに、囲碁盤には、九つの「星」と呼ばれる、
    漆が盛り上がった点がある。
    ところが、郷田七段は、
    「将棋盤にも星みたいな飾りが付いてたんじゃあなかったっすか」
    と言う。
    ある、ない、ある、ない。
    両者一歩も譲らず。
    「絶対ない」
    と言う中村さんに対し、
    郷田さんは、
    「ぜえったいですね。じゃあ、僕は百円出します。
    百円と百万円で賭けましょう」

    とまで。
    埒があかないので、誰かに電話して聞いてみようということに。
    羽生さんの家に電話する先ちゃん。
    「いや、実は(中略)で、あるかないか分かる、できれば見てくれない」
    呆れて、
    「悪いけどもう寝てるんで、そんなのいちいち見る気しないよ、
    けど、あるんじゃない」

    という羽生さん。
    席に戻った先ちゃんが、
    羽生がたしかあるんじゃないかといってた、
    と伝えると、
    中村さんは、かっこよく
    「羽生の時代はこれで終わった」
    と言い放つ。

    もちろん、その後の羽生さんの活躍は言うまでもない。

    で、あるのか、ないのか、って?

    思わず、家の将棋盤を出してきちゃったよ。



    あははは。

    ありました(笑)ひっそりと。

    PR

    calendar

    S M T W T F S
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031    
    << October 2017 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM